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まちづくり新時代 04

2024.04.01
行政の"今"を聞く

~岡山県美作市 学童保育~

少子化に伴い子ども社会は、日々変化し続けています。
特に、子どもたちが放課後を過ごす「生活と遊びの場」である学童保育は、彼らの成長において不可欠な役割を果たしています。
しかし、この大切な場所がどのように運営され、子どもたちにどのような影響を与えているのか、
具体的に知っている人は意外と少ないのではないでしょうか?

美作市と共立ソリューションズが協力し合う中で、私たちは子どもたちにとって最高の居場所を提供するために、放課後児童クラブのあり方を再考し、日々改善を重ねています。
この記事では、その最前線で活躍する二人の専門家、春名由里先生と岡部紀蓉子先生に焦点を当て、
彼らがどのように学童保育の質を向上させ、子どもたちの笑顔を引き出しているのかを紹介します。

学校と家庭をつなぐ大切な居場所づくり、子どもたちのとびきりの笑顔がうれしい──。
民間委託による学童保育の現場から、新たな発見と学びが見つかるかも知れません。

      春名 由里(はるな ゆさと) 先生       岡部 紀蓉子(おかべ きょうこ)先生
      児童クラブ勤務歴18年、共立社員歴8年、   共立社員歴6年、 
      今年度より統括責任者に就任        「北児童クラブダンボ1」の責任者

学校と家庭をつなぐ大切な居場所づくり
―子どもたちのとびきりの笑顔がうれしい―

――業務内容について、お教えください。

春名先生「9つの放課後児童クラブの巡回、支援、子どもや保護者への寄り添い、先生方とのミーティング参加、アドバイスなどに取り組んでいます。また、今年度より統括責任者に就任しましたので各クラブの詳細を知るため『各クラブに1週間参加』、『各先生を紹介するおたよりの作成』も行っています。放課後児童クラブ18年勤務、民間運営になって8年目になります。」

岡部先生「放課後児童クラブ『北児童クラブダンボ1』の責任者として、子どもの支援、保護者対応、各先生方との連携に取り組んでいます。学童保育は5年目で、責任者となり3年目です。」

――いつも心がけていらっしゃるのは、どのようなことでしょうか?

春名先生「人と人との信頼関係を築くことです。そのためにも、まずは話を聴くこと、そして、相手に心を寄せることです。心が通じていないといくら話をしても言葉が入ってこないので、まずは関係づくりが一番です。その一方で、子どもたちとの関係づくりは決して急がずにまず1学期、夏休みまでの長い時間をかけて信頼関係を作っています。クラブは約20~30人在籍していますので、一緒になって遊ぶことを大事にしていました。」

岡部先生「学校が終わって帰ってくる子どもたちを受け入れるのが学童保育ですので、ほっと安心できる居場所づくりや子どもを見守る先生方が働きやすい環境を整えることを心がけています。私が受け持つ『北児童クラブダンボ』は2クラス制で、子どもたちは30人弱と20人弱の約50人、先生は4人と3人の7人体制です。50人と決して少ない数ではありませんが、子ども達と毎日必ず言葉を交わすようにしています。学校から帰ってきたら明るく出迎えて、一緒に遊ぶようにしています。1年生から6年生まで在籍していますが、1年生と2年生が一番多いので、いつもわいわい、元気いっぱいです!」

――民間委託前は、委託反対の声も多かったとお聞きしています。
  民間運営移行後の率直な感想をお聞かせください。

春名先生「当初は学童保育を企業が運営することについて『利益最優先ではないか』と保護者から心配の声が寄せられました。初めての取り組みでしたので、何かはじまるのだろうかと心配されたのだと思います。その後、全国的にも珍しいとされる連携会議(自治体、保護者会、企業の三者が相互に情報を共有し連携を深めるとともに、運営上の課題に対して協議する場)を定期開催することで、関係者同士の信頼関係ができ、『この会社なら大丈夫だ』と安心感が生まれてきました。さまざまな話し合いを重ねて、徐々に良い関係になっていったと感じています。若い先生方も増え、今度の学童保育のより良い運営のために、みんなが満足して働ける職場になるよう取り組んでいきたいと思っています。」

――行政運営と民間委託、組織文化や職場の雰囲気など違いを感じますか?

春名先生「時間的な取り決めについて臨機応変な対応ができるようになったと感じています。例えば、始業時間は何時ぴったりにスタートしなくてはいけないというルールが絶対だったのですが、人間が相手の仕事ですから状況によっては幅を持たせた対応を求められることもあります。そうした時にフレキシブルに応えられるのは働きやすさに繋がります。また、行政運営のときは4~5時間勤務と取り決めがあり、時にはサービス残業もありましたが、現在は6時間勤務になりましたし、今後の若い先生方の参入も考慮して8時間働いてもらえるような職場にしていきたいと思っています。」

――「北児童クラブダンボ1」の責任者として、どのように取組んでいますか?

岡部先生「2つのクラスが別々の建物に分かれているので、子ども同士は外遊びで交流しても、先生はもう片方のクラスの先生の顔を見ないまま帰宅する日もありましたが、今は、毎日少しでもいいので全員とコミュニケーションを取るよう自分から積極的に話すようにしています。以前からお勤めの先生からは、「仕事をやらなきゃいけない」という状況だったのが、仕事以外の話も含めて気軽に接することができるように変化して、以前よりほっとできる雰囲気になったと言って頂けていますので、これからも継続していきたいと思っています。その他、週に一度全体ミーティングを設け仕事はもちろんですが、それだけだと固くなるので、それ以外の話で場を和ませながらコミュニケーションするようにしています。」

――仕事のモチベーションややりがいに変化はありましたか?
  また、民間運営になって良かった点はどんなところですか?

春名先生「運営元がどこであろうと目の前にいる子どもたちや保護者との関係性に変化はありません。どんな問題が起きても、子どもたちの笑顔と保護者が支えてくれて、それが心からありがたかったです。また、良かった点としては事務的な提出物(スケジュール作成、目標や反省などの報告書)の準備などをサポートしていただけるので、事務作業負担が削減され、保育の時間に充てられるようになりました。学童保育は社会での位置づけなどが過渡期でこれから発展していく分野です、提案書など事務作業はますます増えていくと思いますが、できるだけ効率的にしたいと取り組んでいます。」

岡部先生「私は、子どもが大好きなので、子どもたちの笑顔に会えると想像するだけで、今日も頑張ろうと思えます、とてもかわいいです。中学高校の保健体育の教員免許を持っており、大学卒業後は中学校に勤めていました。出産のタイミングで一旦教育現場から離れ、次の仕事を探していた時に勧められたのが学童保育でした。自分の子どもの年齢と近いお子さんもいるので、保護者の方から教えて頂いたり、反対に自分の経験を話すなど、子育て経験の共有ができるのもいいと思います。」

――民間企業への移籍は、お二人のキャリアパスへ影響していますか?
  また、新たなスキルや知識を身につける機会は増えましたか?

春名先生「子どもたちや保護者の方々と学童保育づくりに一生懸命でしたので、運営体制が変化したことによる現場の変化はそれほど感じませんでした。また、新たなスキルについては、これから人前で説明する機会も増えるので、そうした機会を有意義に活用していくスキルを身に付けることが課題や目標になっています。」

岡部先生「自分のクラブだけではなく、他のクラブの様子も見ながら、足りない部分を勉強して補っていきたいと思っています。また、子ども一人ひとりの様子に着目して、学校から帰ってきたときの様子で何か変化を感じたら先生同士で共有するなど、変化に気付き丁寧に対応していきたいと思っています。学校では緊張して窮屈な思いをしていたり、また、家では親から叱られてばかりということがあっても、クラブの先生の前では恥ずかしさがなく、いつも自分を出せる憩いの場になってくれればいいなと思っています。そんな場づくりをしていきたいと思います。」

――未来に向けた抱負(今後の計画やご希望など)を教えてください。

春名先生「若い方に学童保育に就業してもらえるよう、さまざまな取り組みをしていきたいと思っています。私たちが加入している岡山県学童保育連絡協議会では、学童保育に特化した研究もされています。もっと勉強し、数多くの現場を視察し、しかるべき提案し、それぞれの放課後児童クラブがより良くなるための相乗効果を生み出せるよう努めていきたいと願っています。」

岡部先生「学校から帰ってきた子どもたちが、最初は引っ込み思案だったのが、なんでも先生に素直に話せるように変化していける雰囲気づくりを目指しています。また、子どもたちとの信頼関係はもちろんですが保護者とも密に話ができる関係づくりも課題のひとつです。わたし自身の子育ての大変さや経験などを保護者に伝えると、『先生、実は…』という話もしてくださることもあります。親御さんと一緒になって子どもたちを育んでいける学童保育の楽しさや深さ、意義を感じており、これからも一生懸命取り組んでいきたいと思います。」

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